鉄道ジャーナル・鉄道ファン共に夜行列車を紹介しています

 今月の『鉄道ジャーナル』『鉄道ファン』ともに夜行列車がテーマとして取り上げられています。特に『鉄道ジャーナル』では、デビューから24年が経過しても未だに人気が衰えない「トワイライトエクスプレス」について紹介されています。
 「トワイライトエクスプレス」は、バブル期の1989年7月に大阪〜札幌間の臨時列車としてデビューしました。前年にデビューした「北斗星」を上回る居住性を誇るスイートや北斗星の“グランシャリオ”を更にグレードアップした食堂車“ダイナープレアデス”、ロビーカーを上回る“サロンデュノール”など、「夢空間」が営業運転するまでは、日本国内で最高峰の設備を持つ豪華寝台特急であった。この列車のコンセプトは、日本海に沈む太陽を眺めることを主目的にしているため、ダイヤもそのようになっている。下りの場合、朝は噴火湾から昇る朝日を拝むことが出来る。そのため今年10月に九州でデビューする「ななつ星in九州」というクルージング列車の元祖と言えるだろう。その後は、全車A個室寝台車からなる「カシオペア」がデビューしたにも関わらず、人気は衰えることはなかった。

 一方の「夢空間」であるが、“スイート”を上回る“エクセレントスイート”などの豪華個室寝台車や展望食堂車、豪華ラウンジカーなどもデビューしたが、僅か3両しか製造されなかったため、車両の老朽化を理由に2008年に引退した。
 筆者は、主に札幌から大阪という上りに乗車することが多い。上りは、下りよりも1時間以上の所要時間を要し、札幌から大阪まで22時間50分も要するが、全く車内では退屈することがない。食堂車で食事をする以外は、サロンデュノールで雄大な北海道の景色や立山連峰の眺めを見ての旅は楽しい。そのため「トワイライトエクスプレス」は、寝台券の入手が困難な列車である。
 そんな人気列車である「トワイライトエクスプレス」にも、転機が訪れようとしている。1つ目が2015年春の北陸新幹線の金沢開業である。北陸本線直江津〜金沢間が、県境で3つの第三セクター鉄道に分かれる予定である。2つ目が2016年春の北海道新幹線の新函館開業である。青函トンネルは、貨物列車も通行するため新幹線の最高速度は140km/hに抑えられる予定であるが、車両の老朽化も進んでいるため、こちらが気掛かりである。

 「トワイライトエクスプレス」は、JR西日本JR東日本JR北海道とJR3社に跨って走っているが、北陸新幹線北海道新幹線が開業すると、北陸地方で3つの第三セクター鉄道、北海道内の木古内五稜郭間は第三セクター鉄道への移管が決まっており、車両を所有しているJR西日本の取り分は、大阪〜金沢間になってしまう。その上、4つの第三セクター鉄道とも交渉しなければならなくなるなど、需要はあっても運行する側の都合で未だ不透明と言わざるを得ない。
 私は、JR東日本JR九州の「ななつ星in九州」に刺激され、豪華クルージング列車を2016年にデビューさせる予定であり、JR西日本も同様に2017年の豪華クルージング列車のデビューが計画されている。「ななつ星in九州」は、1泊2日のコースであっても1人当たり15万円以上もするにも関わらず、予約が埋まっているという人気ぶりである。そのためJR東日本JR西日本が導入を計画している豪華クルージング列車も人気が出るように思う。

 ただこれらの列車は、マルスに入って一般向けに販売する列車ではない。旅行会社などが販売する旅行商品であるため、列車だけでなく、地元の宿や周辺観光などがセットになって販売される。
 その点、「トワイライトエクスプレス」「カシオペア」は、マルスで販売されるため、列車だけの乗車も可能であり、その分だけ敷居も低いかもしれない。北海道新幹線が開業しても、「北斗星」「トワイライトエクスプレス」「カシオペア」が存続することを願いたい。