MM会議に参加して

 仙台市民会館で、7/12〜7/13まで開催された第8回日本モビリティー・マネジメント会議の会場の看板と私のポスター報告。
 名古屋と仙台とでは、10℃以上の気温差があったことから、前日から風邪を引いてしまった。熱があったため、風邪薬を服用して報告を行うという満身創痍な状態での報告となってしまった。
 報告は、「三江線の存続・活性化に向けた「公」「民」「共」の連携」であり、昨年11月に粕淵にあるゴールデンユートピアおうちで行った講演をベースに、加筆・修正を加えている。
 特に、三江線を鉄道として維持するための財源の創出に力点を置いて説明しているが、MM会議であるため、島根中央高校が昨年実施したバスを用いた社会実験に協力した様子を「学校MM」の事例として紹介した。
 ポスターを見て頂いた方から、「第三セクターである若桜鉄道に運行委託させたらどうか」というご指摘を頂いた。私自身、第三セクター鉄道への移管は考えていなかったため、良い刺激となった。ただ若桜鉄道に、三江線の運行まで引き受けることが可能なだけの人的ゆとりがあるか、正直言えば疑問ではある。それでもJRの運賃をそのまま継続して運行することにあるため、運賃の細切れと値上げは避けられるため、考える必要性はあるように感じた。
 
 MM会議の初日の特別セッション、「地方民間鉄道がんばろう!〜地方民鉄におけるMMの役割と今後の展望〜」も実施され、コーディネーターは京都大学大学院教授の中川(大)先生が務められた。パネリストとして上田電鉄の角田社長、江ノ島電鉄深谷社長、三陸鉄道の望月社長、和歌山電鐵の磯野専務が登壇された。
4名のパネリストの共通した考えは、「知ってもらう」「乗ってもらう」「住んでもらう」であり、キーワードは「考える」である。それゆえ土日は、殆どイベントを行っているという。
 和歌山電鐵の「たま電車」は、国土交通省の地域公共交通活性化の補助金で製作したと磯野専務がおっしゃられたが、それでも和歌山電鐵の利用者は年間で225万人であるという。磯野専務が言うには、年間で250万人乗ってもらわないと黒字経営は無理だという。和歌山市紀の川市にお願いをして、市街化調整区域を外してもらったという。
  三陸鉄道に関しては、2014年4月から全線で復旧するという。小石浜駅を「恋し浜」と改名し、「ホタテ絵馬」を置いて観光名所化を図ろうとしている。震災からの最初の復旧時は無料であったが、これは「第三セクターだから良いだろう」ということでなったらしい。物販事業にも力を入れられ、三鉄ブランドで販売している。
 江ノ電では、昭和40年代にモータリゼーションの影響を受け、廃線の危機を迎えた。その際、観光路線化は避けられないとなった。
 上田電鉄に関しては、中小の民鉄と路線バスが発展しないと、地方都市も発展しないと考えておられる。長野県の八十八銀行は、行員に公共交通の利用を呼び掛けているという。
  この特別セッションは、充実していたが、各事業者のパネリストが中心であったこともあり、中川先生ご自身のお考えなどはあまり聞けなかったのが、残念であった。

2日目は、仙台市が実施しているレンタサイクルのポスターセッションに参加した。仙台市の交通分担率は、自家用車が50%、鉄道が10%、路線バスが6%というように、公共交通の分担率が低く、自家用車への依存が高い。この状態を少しでも緩和させるため、「DATE BIKE(だてバイク)」と称して、子供を乗せることが出来る電動自転車が登場している。
 親子で自転車に乗ることで、自転車に乗る楽しさを理解してもらうことを目的にしている。利用可能な時間は、8:00〜20:00までであり、代金は1,000円である。子供用のヘルメットも無料で貸し出されている。
 子供乗せ電動自転車を借りるには、携帯電話番号を伝え、顔入りの身分証明書の提示が必要である。
 自転車の貸し出しは、富山市でも実施しているが、こちらは単なる車両のリース料だけであるのに対し、仙台市では運転者自身が怪我をした時や、他者とぶつかって相手に怪我を負わせた際のことも考慮し、代金に保険料も含んでいる。
 
 2012年2月で水戸市で開催された「人と環境にやさしい交通をめざす会」で、富山市の森市長は富山市の交通に対する取組みに対する講演を実施された際、レンタル自転車の話も出た。
 質疑応答時に私は森市長に対し、レンタル自転車に保険料などは含んでいますか?と質問をした。森市長の回答は、「それは自己責任です。富山市の歩道は広いため、歩道を走行しても、人とぶつかることはないでしょう」だった。
 森市長は、LRTに対する造詣は深いが、自転車に対しては良く分かっていないと感じ、愕然とした。
 その点、仙台市は事故時のことも考慮して、代金に保険料も含んでいる。
 但し自転車レーンの設置場所に問題がある。線だ愛しでは、歩道の中に線を引いて自転車レーンを設けているが、この考え方は間違っている。自転車レーンは車道側に儲け、自転車レーンと歩道の間で仕切るのが正しい。山形市は、そのようにしている。
 仙台市のやり方だと、駐輪場と勘違いされる危険性が高い上、自転車と歩行者がぶつかる危険性が大である。
 今後、自転車レーンを整備する際は、車道側に整備して歩道との間を柵などで仕切るようにしなければならないことを痛感した。