急行[きたぐに」の臨時列車への格下げ

来年3月17日のダイヤ改正では、寝台特急日本海」と共に急行「きたぐに」も臨時列車に格下げになるという。急行「きたぐに」は、1994年の寝台特急「つるぎ」が廃止された後も、A寝台車、B寝台車、グリーン車、普通車自由席という豪華から節約まで、幅広いサービス内容が利用者から支持を集め、通年で高い利用率を誇っていた。
臨時列車への格下げの理由として、利用者の減少と車両の老朽化が原因のようであるが、「きたぐに」の場合は理由の一つとして若人の消費志向の変化も見逃せない。
きたぐに」の下りは、大阪〜糸魚川直江津までは、冬季は「スプール号」の代役も兼ねていた。今から20年以上昔は、冬になると大阪から白馬や赤倉、妙高高原へスキーに出掛ける際、「きたぐに」の普通車自由席は、デッキまで人があふれることもあった。少子高齢化による若年人口の減少もあるが、今の若人は旅行よりも携帯電話やインターネットにお金を使う傾向にあることもある。
 他の輸送モードと比較すると、格安のツアーバスの台頭が挙げられるが、このようなバスはトイレが付いていても2〜3時間毎にサービスエリアで休憩を採るため、深夜であるにも関わらず、強制的に起こされることになる。また高速道路の事故による通行止めや渋滞や雪による遅れがあるため、輸送の安定性では鉄道にはかなわない。
 1995年から料金に関する規制が「届出制」に緩和されているため、JR西日本管内の大阪〜直江津間だけでも、寝台料金やグリーン料金の値下げを実施するべきだった。
 A寝台車は、寝台のセット・解体を行わないことから、下段が6,000円、上段で4,500円が妥当である。B寝台車は、下段が4,000円、中段・上段が2,500円が妥当であろう。カプセルホテル並みの開放型A、B寝台車では、現在の料金は割高過ぎる。これは寝台料金だけでなく、グリーン料金も同様である。100kmまで1,000円、150kmまで1,500円、200kmまで2,000円、200km以上が2,500円でも良いだろう。
 下りの新潟着8:35はビジネスや観光にも丁度良い時間であるだけでなく、特急「いなほ」に接続するため、庄内地区へ向かう人にも使いやすいダイヤである。
 来年の3月のダイヤ改正では、残念ながら臨時列車に格下げとなるが、JR西日本管内だけででもよいから、寝台・グリーン料金の値下げを実施して需要を喚起して欲しい。
 北陸新幹線開業後は、並行在来線の収支を少しでも良くするため、新型の寝台電車を開発して存続されることを願っている。その際、富山〜関西国際空港間の夜行列車なども設定すれば、USJへの訪問者に対するサービスにも繋がる。夜行列車は、まだまだ活性化させることが可能であるため、積極策を望みたい。
 詳細は、『ブルートレイン誕生50年‐20系客車の誕生から、今後の夜行列車へ』を参照されたい。