来年3月のダイヤ改正で消える小田急20000系「あさぎり」

 来年3月17日のダイヤ改正は、ある面では寂しいダイヤ改正かもしれない。
 寝台特急日本海」、急行「きたぐに」の臨時列車への格下げだけでなく、特急「あさぎり」も新宿〜御殿場間に運転区間が短縮されるだけでなく、JR東海371系小田急の20000系も引退する。JR東海371系および小田急の20000系は、1991年3月のダイヤ改正から登場した車両であり、それまで小田急の3000系SE車で運転されていた急行「あさぎり」を特急に格上げた。371系および20000系にグリーン車が2両も連結されているのは、御殿場線沿線にゴルフ場があるためであり、当時はバブル期であったことから、休日になるとゴルフに出掛ける人も多かった。また沼津まで延伸することで、西伊豆観光の促進が期待された。
 「あさぎり」は、曜日による波動が大きく、平日の御殿場線内は比較的空いていた。登場時はビッフェもあり、陶器製のカップや皿を用いて、コーヒーや軽食が提供されており、グリーン車にはシートサービスが行われていた。またグリーン車には、液晶テレビも備わるなど、至れり就くせりであった。
 来年3月17日のダイヤ改正からは、特急「あさぎり」は全て小田急の60000系に置き換わり、グリーン車もないモノクラスとなる。その際の371系および20000系の去就で気になるところである。371系はイベント用に改造されると聞くが、小田急の20000系は廃車になるという。
 現在の車両は、金属の加工技術も進んで耐用年数が40年に延びているにも関わらず、僅か20年程度で廃車にするとは、なんともったいない話ではなかろうか。20000系は、僅か2編成14両しか製造されなかったため、小田急としては使い勝手が悪いのかもしれないが、それならばJR東日本にリースすれば良いだろう。
 JR東日本とすれば、20000系をリースして、新宿発の日光・鬼怒川温泉方面の特急「日光」「きぬ」に使用すれば良い。JR東日本は、現在、485系から253系に置き換えたが、東武鉄道100系スペーシアと比較すれば、完全に見劣りがする。20000系にはグリーン車も備わっているが、個室グリーンではないため、一般向けに販売もしやすい。編成を分割したり、グリーン車を廃車にすることなく、20000系が活用できる上、253系よりも居住性でも優れる。253系は、成田空港〜館山や安房鴨川間などを結ぶ県内特急(急行でも良い)を設定し、これに転用すれば良かろう。その他としては、長野〜直江津経由の新潟間の急行や、長野〜飯田間の急行を復活(急行区間は、長野〜駒ヶ根間)に活用するようにしたい。
 その他20000系の活用方法として、東京〜大阪間の臨時夜行急行に使用する方法もある。20000系であれば、183系で運転される臨時快速「ムーンライトながら」よりも、居住性で優れている上、普通車であっても夜行バスなどよりもシートピッチも広く、バスからのシフトも期待できるのではなかろうか。この場合、グリーン車では、毛布とスリッパを備え付けるだけでなく、歯ブラシとミネラルウォーターの提供も不可欠である。
 20000系電車の有効活用を検討してもらいたい。