『新幹線VS航空機』について

 『新幹線VS航空機』のお薦めですが、この著書は鉄道ファンや航空ファンなどの中でも、比較的若年層向けに書いたのですが、「新幹線や空港などの高速交通機関の整備促進を目指した本である」という誤解を与えてもいけないので、並行在来線問題や空港整備の財源および空港経営の民営化の問題にも触れました。
 並行在来線問題に関しては、長崎新幹線の場合はインフラは佐賀県長崎県などが所有して、列車運行はJR九州が担うようになるため、運賃の値上がりや、運賃の細切れ化などの問題は回避されます。
 問題は、北陸新幹線の金沢延伸時であり、北陸本線直江津〜金沢間は新潟県富山県、石川県と3つの県に跨るため、県境を境に3つの第三セクター鉄道に分離されます。石川県などは、新潟〜金沢間を直通する特急「北越」の存続を願っており、そうなると直通する利用者の負担が増大することになります。
 一方の空港に関してですが、日本は98も空港整備を行ったが、約35は離島にあります。これらの空港を結ぶ路線は生活交通であるため、不採算であっても廃止は難しいでしょう。しかし98も整備された空港の中には、満足に航空機が来ない空港もあり、ラジコンマニアが自家製の飛行機を飛ばす会場と化している空港もあります。
 それゆえ従来のように、高速交通機関の整備促進だけでは、政府の財政も持たない時代となり、みんなで知恵を出し合わなければならない時代になったと思います。
 『新幹線VS航空機』は、並行在来線問題について取り組んでおられる自治体関係者や鉄道・交通系NPOの方々、並行在来線問題の研究者、空港整備の財源と維持について考えておられる方々、地方空港に海外からのLCCを誘致したい空港関係者の方々にもお薦めの一冊でございます。