寝台特急「日本海」さよなら乗車

先日、3月のダイヤ改正で廃止される寝台特急日本海」に乗車した。さよなら乗車であるから、A寝台車の下段に乗車したかったが、最後まで寝台券が入手できずB寝台車の下段に乗車した。A寝台下段が発売から10秒で売り切れたため、B寝台車も直ぐに売り切れると思っていたが、乗車してみると下段は埋まっているが、上段はガラガラだった。
 寝台特急日本海」は、個室寝台車が主流となった今も全車が開放型であり、国鉄時代の名残を残すある面では貴重な列車である。当然のことながらロビーカーも無ければ、シャワールームも無い。
 現在はオンデマンドで効率性が最優先の時代である中、車内では昔ながらののどかな雰囲気が味わえる。開放型寝台車は、乗り合わせた人達が会話をすることになるため、15時間の乗車時間も退屈することなく、思い出に残る旅行となった。
 ただカプセルホテル並みの設備にB寝台車でも6,300円は高すぎることは事実であり、開放型B寝台車は下段が4,000円、上段が3,500円が妥当である。一方、開放型A寝台車は、寝台の解体を行わない列車であれば、下段が6,000円、上段であれば4,500円が妥当だと考える。寝台のセット、解体を行うのであれば、下段・上段ともに1,000円をプラスすれば良い。
 料金に関する規制は、1995年から「届出制」に緩和されているため、鉄道会社が届け出れば値下げは可能である。開放型寝台車も、料金を値下げすれば人気も復活するであろう。
 詳細は、『ブルートレイン誕生50年-20系客車の誕生から、今後の夜行列車へ』の第7章で書きました。
 開放型A寝台車は鉄道マニアから人気があり、上段・下段ともに敷き布団になっているため、「“ロイヤル”や“シングルデラックス”よりも、寝心地が良かった」と、好評であった。私も開放型A寝台車には何度も利用しているが、下段は広い窓を独占できるという優越感が味わえる。また通路側のカーテンを閉める代わりに、窓のカーテンを開け、雪見酒を行うことが楽しめる。夜行バスでは、カーテンを開けると他の乗客の迷惑になるため、閉じておかなければならない。その点、寝台車はカーテンを閉めるとある面では個室感覚になれる。“ソロ”のような狭いB個室に10時間以上乗車するのは、苦痛以外の何ものでもないが、開放型はその点で適度な開放感があるため、苦痛は少ない。A寝台車の下段の広い窓を独占して行う雪見酒は、この上ない優越感が味わえる。私はこれが好きで寝台車を愛用してきた。
 臨時の「日本海」は、B寝台車6両の味も素っ気もない編成で運転されるという。そして驚いたことにダイヤも、大阪発の下りが20:40頃であり、青森着が12:40頃と正午を過ぎてしまう。一方の上りは、青森発が16:20頃と繰り上がり、大阪着は10:27である。途中、直江津で約1時間停車する。臨時列車になり、所要時間が延びるにも関らず、車内販売は期待できないだろう。A寝台車も、トイレ・洗面所の改良を行うなどして、是非とも連結させて欲しいものである。談話室は、色々なお客さんと心が触れ合える貴重な場所である。
 車内では、『ブルートレイン誕生50年-20系客車の誕生から、今後の夜行列車へ』を読んでいる鉄道ファンを見かけ、ホッとしたものである。そして「インターネットで買おうとしたが、取り寄せになるため3週間待たされる」という苦情も頂いた。
 東京地区では、書泉グランデだけでなく、東京駅八重洲口1階にある三省堂書店八重洲ブックセンターには、未だ在庫があります。東京駅八重洲口の三省堂で買い求め頂き、新幹線の車内で読むということもできる。大阪では、なんばの旭屋なんばCITY店にも置かれている。最も確実なのは、出版元の㈱クラッセに注文することである。ここには在庫があり、直ぐに郵送してもらえます。http://www.klasse.co.jp/
 未だの方は、この機会に是非ともお買い求め頂き、ご一読頂ければ幸甚でございます。