岡崎市のバス専用レーン

 岡崎市岡崎駅前(JR岡崎駅)〜福岡町間を運行する名鉄バスは、かつての名鉄市内線(路面電車)の跡地をバス専用レーンとして活用している。今風に言えばBRT(Bus Rapid Transit)となるが、鹿島鉄道廃線跡を活用したBRTとは異なり、一般車両の侵入を防止するための遮断機がない。これは旧国鉄が計画し、戦前に着工した奈良県にある五新線を転用したバス専用道と同様である。名鉄バスの専用道では、周辺に民家などの集落が立ち並ぶことから、一般道と交差する所では、バスは一時停止を行い、安全の確認を行う。一方の旧五新線を活用したバス専用道は、山間部や田園地帯を走行するため、左右の見通しが良いため、一時停止しなくても良いのである。
 専用道の周辺には民家も点在しているため、一種の生活道路と化している面もある。そのため帰宅途上の中高生がバス専用道を歩いていたりすることもあり、最高速度は35km/hに抑えられている。時々、渋滞している一般道を回避するため、バス専用道へ侵入する自動車もあるという。その際は、お互いが譲り合いを行っているという。バス専用道は、バス停付近で行き違いが可能となるように、その部分の幅員が広くなっている。
 バス停であるが、福岡町へ向かう方面は、降車が中心になるため、ポールだけであるが、岡崎駅へ向かう方は乗車が中心になることもあり、バス停には上屋が整備されていた。ベンチの整備も望まれるが、資金的に難しいのであれば、回覧板などで不要となった椅子を募るか、地元の工業高校の生徒に作ってもらうという方法がある。現在は、各高校も生徒集めに必死になっており、高校生の地域ボランティアも生徒集めと、学校のイメージアップに貢献する。
 岡崎駅前〜福岡町までの所要時間は7分であり、運賃は180円である。道路渋滞に遭遇することがないことや、バス専用道の周辺に集落が点在することもあり、利用率は高い状態にある。車両も低床式車が中心に導入されており、中にはハイブリッド車も導入されている。ハイブリッド車に乗車すると、低速域では電気で駆動するため、音が静かであるため、バスに乗車しているとは感じない。
 だが乗り心地は、専用道を所有している名鉄バスが頻繁にメンテナンスを行っていないこともあり、20km/h程度の速度で走行しているにも関わらず、揺れや振動が大きい。そのためBRTと呼ぶには、疑問が残ることも確かである。旧五新線を活用したバス専用道でも、特にトンネル内を走行する時は、揺れや振動が気になった。だがこちらは50km/h程度の速度で走行するため、BRTと言えなくもない。
 鹿島鉄道廃線跡を活用したバス専用道は、『地域で守ろう!鉄道・バス』でも書いたように、公設民営で整備されている。インフラ部分は石岡市小美玉市が所有しており、バスの運行は関東鉄道バスが行っている。未だ新しいこともあり、乗り心地は良好であったが、小まめにメンテナンスされることを願っている。名鉄バスでは、低床式の新型車が多数導入されているが、こちらはステップのある高床式のバスが多い。ただバス停の上屋の設置は進んでいる。http://tairyudo.com/tukan6bo8800/tukan8904.htm
 バス専用道を走行することで、定時運行が可能となり、朝夕のラッシュ時は非常にありがたい。
 名鉄バスや旧五新線を活用したバス専用道や鹿島鉄道廃線跡を活用したバス専用道など、これらは鉄道の廃線からの転用である。これらを活用するには、幅員が狭いことから、並行する道路が渋滞している地域に限定される。そうでない地域で導入すると、行き違いなどによる運転停止などが生じるため、国道などを走行するよりも所要時間を要するようになる。
 都心部でバスの速達性や定時性を担保するには、バス専用レーンを設ければ良い。その際のバス停は、従来のようなバスベイ式にするのではなく、平面構造(内側にのめりこまない)として、乗降を円滑化させなければならない。その方が、運転手に対する負担も減り、バスの運行時間の短縮に繋がる。