JR夜行の創設を提案した理由

 「夜行列車に乗ろう 夜行バスはあかん」というブログで、『ブルートレイン誕生50年』の読者の方が、私と川島令三氏が仮称「JR夜行」の創設を提言している旨を紹介して頂いていることを知りました。
 そのレスの書き込んだ方は、「旅行会社がトワイライトエクスプレスの車両をチャーターして宮崎方面に運行した事例があるため、旅行会社が寝台車をチャーターして販売を行い、実績を作りながら定期列車に育てていけば良い」という旨を提案なされていました。
 かつて旅行会社が寝台車をチャーターして、現在のツアーバスのような形態で販売したことがあったのですが、利用者のマナーが悪かったのです。そのためJRは、「二度と貸さない」という結果になったことを知っていたため、私はそれを提案しなかったのです。トワイライトエクスプレスの編成は、何故、可能となったのかと言えば、多分、利用者が列車の旅を楽しむことを目的とした比較的高所得者であるため、マナーなども良いということがあったように思います。
 私がJR夜行の創設を提案した理由は、国鉄の分割民営化による弊害として、複数社に跨る列車の場合、他の事業者との調整が必要になり、料金に対する規制が「届出制」に緩和されていても、値下げができないなどの弊害があるためです。「JR貨物に夜行列車の運行を担わせれば良いではないか」という意見もありますが、JR貨物国鉄の分割民営化時に技術屋を中心に配属されたため、営業力が弱いのです。そのため高性能機関車を開発すれば、貨物が戻ると考えている節があります。
 JR貨物は、旅客会社の線路を借りて運営するため、第二種鉄道事業者であり、今日の日本で議論されている上下分離経営の奔りでもあります。またアメリカやオーストラリアでは、前者はバーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道やユニオンパシフィックなどの貨物会社の線路を借りて、アムトラック(旅客会社)は寝台列車などを運行しています。後者は、州営鉄道の線路を借りて、インディアンパシフィックやザ・ガンなどの豪華寝台列車の運行を行っているため、日本でも他の旅客会社の線路を借りて(JR夜行は第二種免許を取得)、寝台列車を運行するべきだと考えます。そういう形で寝台車を一括して所有するようにすれば、他の事業者間で料金面での調整は不要(ダイヤの調整は必要)となるため、市場に見合った弾力的な料金設定が可能になると考えます。
 その際、JR夜行は管理部門と車掌などを中心に構成を行い、機関車はJR貨物から乗務員ごと借りれば良いと考えます。JR貨物は高性能な機関車を所有しているため、借りるのが得策です。またJR夜行に貸すことでリース料が入ります。客車(寝台車)のメンテナンスは、旅客会社に依頼すれば良いでしょう。販売面では、みどりの窓口だけでなく、自社のHPでも販売を可能にすると同時の、開放型寝台車などは、大幅に値下げすることは当然ですが、そこへプラス早割りや閑散期割引などを導入して、寝台を埋めるようにするべきでしょう。この点に関しては、格安航空会社(LCC)は優れています。
 以上のような理由から、私はJR夜行の創設を提案しました。川島氏も同様の提案を行っているとのことでしたが、多分、私と似たような理由からではないかと思います。
 寝台車の新製をJR東日本などにお願いすることは、2011年3月11日の東日本大震災で被害を受けたローカル線の復旧などを優先させなければならないため、厳しいと思います。私は、ブルートレイン(夜行列車)を観光資源と位置づけているため、将来的には国際連帯税などの環境税を導入して、旅客会社に補助するのが望ましいと思っていますが、国会審議などを要するため、中長期的な視点になります。
 短期的な視点では、寝台車の新製費用を工面するには、有志から1口1,000円の寄付を募るのが望ましいと思います。「あけぼの」などで使用している車両は老朽化が進んでおり、取替えの時期を迎えています。地元の山形県秋田県青森県は、羽越本線奥羽本線の衰退を懸念しているため、JR東日本に存続をお願いしているようです。ただ単に陳情するだけでは、JR東日本も首を縦に振らないため、車両(寝台車)の新製への補助や、有志からの寄付を募る必要があります。この場合、100口(10万円)以上寄付してくれた人に対しては、車内にその名を刻むなどの名誉を与えれば良いでしょう。そうすればJR東日本も、態度を軟化させるかもしれません。
 「北斗星」「トワイライトエクスプレス」「カシオペア」に関しては、北海道新幹線の開業が影響すると思います。顕在需要があることから、電車寝台として青函トンネル内は160km/hで走行するようにし、北海道内はDF200に牽引させるようにするべきでしょう。これならば新幹線のスジに対する影響を最小限に食い止めることが出来ます。「貨物は1,435mmゲージの貨車に載せて運ぶ」という案もあると聞きますが、積み替えのコストと時間を要するため、現在よりも東京〜札幌間の所要時間が伸びます。貨物列車も160km/hでの走行が可能な貨車や機関車を開発して、存続させるべきでしょう。
 夜行列車は、環境にも優れているだけでなく、ツアーバス(路線バス)よりも、格段に安全性が高いという利点があるため、大切に守り育てて欲しいと思っています。「夜行列車に乗ろう 夜行バスはあかん」というブログにあるように、皆様方も釤ゴロンとシート”や釤のびのび座席”でも結構ですから、出来るだけ夜行列車に乗るようにして下さい。http://www.klasse.co.jp/