使い勝手が悪くなった「秋の乗り放題パス」

 今月の5日から19日まで、秋の乗り放題パスが販売されている。今年はJR発足25周年ということで、価格は7,500円と例年の9,000円よりも割安になっている。私自身もJR発足25周年を記念して値引いたのかと思っていたら、大きな落とし穴があった。
 例年ならば、「3日間乗り放題」と言っても、利用する度にスタンプが押される仕組みであっったため、「青春18きっぷ」のように連続していなくても良かったし、3人が一緒に利用しても特に問題視されなかった。
 ところが今年は、「連続する3日間」だけとなった。そして使用開始時にスタンプが押されるため、複数名での利用は不可となった。それゆえ使い勝手が悪くなったのである。
 ここで問題となるのは、駅に掲示されているポスターは、「3日間、JR全線の普通・快速列車乗り放題」と大きく書かれ、「JR発足25周年」と書かれている点である。
 これを見た人は、「今年はJR発足25周年であるため、それを記念して例年よりも価格を割り引いたのか」と感じてしまう。私自身も、そのように感じてしまった。
 私が最も恐れる点は、国鉄時代から続くベストセラーである「青春18きっぷ」の使い勝手が悪くされるのではないか?ということである。国鉄時代の「青春18きっぷ」は5枚つづりであり、切り離して使用することも出来た。だがJRに移行すると、切り離すことが出来なくなった。5人で利用する場合は、5人が一緒に固まって改札口を通ることになる。この場合、5つのスタンプが押される。
 それが今回の「秋の乗り放題きっぷ」を契機として、連続する5日間だけとなり、かつ複数人での利用を不可にされるのではないか?という心配が生じた。
 JRとしては、このような企画乗車券で乗車されても利益率が低いため、あまり嬉しくないかもしれないが、平素から自家用車を利用している人が、鉄道(JR)を利用してもらえるチャンスでもある。「青春18きっぷ」などは、若年層よりも高齢者の利用の方が多い。高齢者が「青春18きっぷ」を利用して外出するということは、寝たきりになる高齢者を減少させる効果があり、国の福祉関係の予算を削減させる効果がある。寝たきりになりたくないと思う人は、積極的に外出(公共交通を利用して)することが効果的であることは、科学的に実証されている。
 そのような結果を踏まえ、「秋の乗り放題パス」も従来のような制度に戻し、利用しやすくして欲しい。JRも、「高齢者の福祉に貢献する」というような意識改革をしなければならないだろう。