簡素なサービスの割に快適だったピーチエアー

 先日、今年の3/1に就航したピーチエアーの関空〜新千歳線を利用した。関空側は、今年の10月28日に改行したばかりのLCC専用ターミナルに離発着する。LCC専用ターミナルは、内装は物流倉庫のように鉄骨むき出しの簡素な構造ではあるが、トイレや売店・食堂などは完備されており、実用上は問題なかった。唯、関西空港駅から無料のシャトルバスに乗車しなければならず、搭乗する際には時間的なゆとりが必要である。
 ピーチエアーに関しては、以前にも書いたように手荷物を預けると1,000円程度徴収される上、事前の座席指定に関しても料金が徴収される。そしてLCCターミナルからの搭乗であるが、ボーディングブリッジやバスを使用することはなく、ターミナルから歩いて飛行機へ向かい、タラップを上がることになる。歩く距離は、50m程度であろうか。筆者が搭乗した日は快晴であったが、雨天時などは傘をささなければならず、難がある。またタラップには、バリアフリー対策が一切ないため、身障者やベビーカーを持った人は、利用が困難である。これは機材の中にも現れており、バリアフリー対策は殆ど実施されていない。
 
 機内サービスであるが、関空〜新千歳間を片道5,800円の低廉な運賃を実現するため、シートピッチが狭く、路線バス並かそれ以下かもしれない。2時間以上搭乗するには不適な構造である。
 JALANAのように機内誌も用意されていなければ、オーディオなども勿論ない。食事や飲み物も有料であるが、この値段が結構、割高である。コーヒーはインスタントであるにも関わらず200円もする。カップヌードルは、350円というように、麻生元首相が言った400円に近い値段である。その他、ビーフカレーやビビンバもあり、共に600円である。
 筆者は、話の種としてビビンバを注文したが、機内のレンジで温める必要があるため、注文してから20分程度も要する。ピーマンや人参などの緑黄色野菜を使ったビビンバだったため、野菜不足になりがちな外食時には助かるのだが、量は少なく、「軽食」と位置づけた方が良さそうなぐらいである。また出てくるのはビビンバだけであり、お冷などは無い。お冷が欲しければ、ミネラルウォーターを購入する事になる。
 そのため機内では我慢して、新千歳や関空(搭乗客用の食堂)などで食事した方が良さそうだ。
 ピーチエアーから言えることは、基本運賃を割安にして、定員を多く設定して数を確保し、手荷物預け料、座席指定料金、機内飲食代、ピーチエアーのオリジナルグッズを販売して稼ぐビジネスモデルである。
 そのためJALANAを利用している人とピーチを利用する人は、層が異なる。もちろんトワイライトエクスプレスの利用者とは、全く客層が異なる。ピーチは、事前に予定が組みやすい帰省客などに適する航空会社であると言える。ピーチの登場により、帰省する回数は増えるだろう。
 JALANAは、マイレージなどで顧客を囲い込むようにするだろうし、機材トラブルなどが生じた際には、予備機があるため円滑に対応するだろう。そのためピーチエアーなどは、脅威とは感じていないと思う。
 トワイライトエクスプレスは、ゆったりとした汽車旅を楽しみたい人が利用するため、ピーチエアーが関西〜新千歳間に就航しても、問題にならない。
 今年はLCC元年と言われるが、ピーチエアー、エアーアジア・ジャパン、ジェットスター・ジャパンが日本に定着するか、注視したい。