盛況だった三江線存続・活性化のシンポジューム

 先日の11/17日に、島根県の邑智町で三江線の存続・活性化に向けた第2回目のシンポジュームが開催され、筆者は三江線の存続・活性化に向けた「公」「民」「共」の連携というタイトルで講演を行った。当日は、土砂降りの雨であるにも関わらず、100名近い方々に参加して頂き、三江線の存続・活性化に向けた地元の熱意を感じました。また沿線には、三江線活性化に向けた昇り旗が建てられていた。
 ただ広島県側からは、大学の准教授が1名と三次市の関係者1名の参加はあったが、議員の参加は皆無であった。また学校関係者の参加も無かった。
 但し6回企画されたワイン列車や地酒列車、神楽列車は大変好評であり、6回分(未だ12月分は実施されていない)が全て満席であると聞く。そうであれば来年度も、このような臨時列車の運転が実施されることを望む。
 現在、三江線では、バスを用いた増発の社会実験が実施中である。これは以前のブログでも書いたが、江津〜石見川本間は列車交換設備を備えた駅が皆無であるため、列車増発が極めて困難であることもあるが、バスでも十分に対応が可能であるということを
実証するためではないかと疑いたくなる。
 1999年3月のダイヤ改正時に、三江線の列車交換設備が大幅に撤去された。2010年4月に突然、JR西日本の真鍋社長が赤字ローカル線の廃止を検討している旨を発表した。具体的な線区名は公表されなかったが、輸送密度が極端に低い三江線沿線は危機感を持つ。2011年4月1日から開始した地域公共交通確保維持改善事業(生活交通サバイバル戦略)では、それ以前の地域公共交通活性化再生総合事業時代に支給されていた試験運行に対する補助金が支給されなくなっている。
 そんな中、2012年10月1日から12月末までバスを用いた増発の社会実験を開始した。JR西日本という会社は、儲からない線区には全くと言っていいほど金を掛けない会社である。三江線には極端な急カーブは無いが、沿線の斜面の草刈りなどの手入れを全く行っていないため、列車が走行すると木々の枝が車体に触れる。そのため列車の最高速度は30km/hに制限される個所が非常に多い。
 このような線区に、何故数千万円も掛けて増発の社会実験を行うのだろうか。それはバスを用いて社会実験を実施したが、利用者は増えなかったという事実を作り、廃止に持ち込むためである。
 筆者は、三江線を存続・活性化させるには、①沿線住民に三江線の必要性を認識してもらう。②地元でも支えることが可能となるように赤字幅の圧縮の2点を提案した。
 赤字幅を圧縮するには、基金を作ることが重要であると考えており、その財源として以下のような方法を考えている。
①各自治体が宝くじを発行して、その売上金を活用する
②枕木オーナー・つり革オーナー制の導入
③各自治体役場の駐車場を有料化して、その資金を活用する
石見川本駅構内などで、三次産のワイン、安芸吉田市の地酒、邑智町・邑南町・石見川本町産の地酒を販売し、その売上の2%程度を財源として活用する
⑤農業・林業が盛んな地域であるため、バイオマス発電を行い、その電力を中国電力に売電した資金を活用する

 ⑤のバイオマス発電は、生ゴミなどでも実施できるため、“脱原発”の有力な手段となる。原発などに頼らなくても、電力は賄えるのである。12月の衆議院選挙では、“脱原発”を掲げる政党に投票しなければならない。そうなると自民党では駄目である。自民党は、原発推進を行ってきた政党であり、安部総裁は首相の時代に上梓した『美しい国』では、原発推進地球温暖化防止の切り札だと考えていた。その上、既に賞味期限が切れた政党である。民主党が駄目であるからから、「自民党」では日本は良くならない。
 
 安倍総裁は、原発推進論者であると同時に、交通基本法案にも懐疑的であった。これ以上、公共交通空白地域を広がらせないようにするためにも、民主党社民党などが中心となり、交通基本法案の再提出して、成立させなければならない。 
 筆者は、三江線のようなローカル鉄道を活性化させるには、「公」「民」「共」の連携が重要である以外に、議員の協力も重要であることを述べた。つまり『地域で守ろう!』である。そして「三江線を守る会」をNPO法人に昇格させることを提案した。生活バスよっかいちがNPO法人格を取得しているのは、社会的な信用が得られるためである。

 11/17は、三江線を守るために江津、浜田、大田の3市と、石見川本、美郷、邑南の3町の議員有志が、「三江線を守る議員連盟」の設立総会も実施された。超党派による議員連盟の活躍に期待したい。
 シンポジュームでは、邑南町の職員の方が、自分たちで企画した宇都井駅のライトアップのイベントのPRなどを行った。このような積極的なPRや取り組みを行わないと、三江線の存続・活性化は難しい。この職員の意欲に対して、心から敬意を表したい。

 さらに三江線を存続・活性化させる基金の創設は、近鉄が廃止を検討している内部線・八王子線の存続・活性化にも応用できる可能性がある。こちらは四日市市内だけであるから、四日市市が宝くじを発行したり、市役所の駐車場を有料化して基金の財源にすることも出来るだろう。