近鉄内部線・八王子線を存続させる便益

 近鉄が2012年8月に、内部線と八王子線のBRT化を表明した。未だ正式に廃止届は出していないが、水面下では廃線に向けて動いていることになる。
 以前もこのブログで書いたが、内部線・八王子線は1日当たり1万人の乗降がある線区であり、輸送密度も3,000人程度と和歌山電鐡三岐鉄道北勢線とほぼ仝レベルである。
 気仙沼線などのBRT化された区間は、鉄道時代と比較して各段に利用者が減っている。また廃止された鹿島鉄道の跡地を再利用したBRTであるが、平素遮断機はバス専用道を遮断しており、バスが接近すると遮断機が上がり、運転手は左右を確認しながら発進させる。
 
 近鉄は、内部線・八王子線の年間の赤字額を2億7,100万円と公表しているが、もし近鉄から第三セクター鉄道に移管されると、運賃値上げなどで利用者が1割減少すると過程する。四日市〜西日野間の片道の所要時間は、混雑時でも11分であり、BRT化されると14分になるという。これが道路を移動すれば、22.34分も要するという。大気汚染の悪化、交通事故の増加による社会的損失、中心市街地の空洞化による地価下落からの固定資産税の減収などを加えると、便益は年間で10億円を超えることも考えられる。

 年間の赤字額よりも便益の方が完全に上回っているため、内部線・八王子線は鉄道として存続させる線区である。
 バス化されると、確実に利用者は減少する『鉄道・路線廃止と代替バス』を参照されたい。
 拙速に判断せず、便益が重視されることを願っている。