第3回交通まちづくりシンポジュームに参加して和歌山の鉄道の現状を学びました

 
 3/9に和歌山地域経済研究機構の主催で、第3回交通まちづくりシンポジュームが、和歌山市勤労者総合センターで開催された。
私は、和歌山県の交通と観光を考えることを主眼としているが、和歌山線についても触れられるため、参加することにした。
和歌山線は、国鉄再建法で輸送密度が8,000人/日以上を幹線と定めたが、和歌山線は200名程度少なかったため、地方交通線と定められてしまった。当時の佐世保線の輸送密度が、6,500人/日であっても幹線として扱われ、それよりも輸送密度が高い和歌山線が「地方交通線」と定められることになった。和歌山線よりも輸送密度が低くても幹線と扱われている路線は他にも、磐越西線美祢線根室本線など幾つかあった。佐世保線根室本線などは、特急列車が運転されている。美祢線は、石灰石の輸送があったため、旅客輸送密度は低くても、幹線と扱われた。つまり輸送密度はあくまで基準で1つであり、結局は国鉄が経営する意思があるか否かで決められたように思う。そのため運賃格差問題にまで発展し、それが交通権学会の創設の契機となった路線である。
パネルディスカッションで、和歌山県庁の永尾氏は、「和歌山市の人口が37万人、岩出〜橋本間の人口が葯20万人である。和歌山市と岩出〜橋本間の人口を加えると60万人となり、和歌山県の人口の6割が住んでいることになる。京奈和自動車道の整備に合わせて和歌山線も近代化する必要があり、将来構想に入れるべき」とおっしゃられた。
和歌山県は、今まで完全に道路偏重の交通政策であり、道路整備を進めた結果、南海貴志川線などの利用者も減少し、やがては南海電鉄が廃止届を出すに至った。
和歌山線の近代化は、1984年の電化以来停滞しているため、和歌山〜橋本間の軌道強化や行き違い設備の増設、部分複線化などの投資が必要だと感じている。それゆえ和歌山県職員の永尾氏の発言は、大きな意味を持つように思える。
その他として、和歌山大学経済学部教授の辻本勝久氏からは、新大阪から和歌山を経由して徳島、高松付近を経由する四国新幹線構想の話があった。辻本教授の話では、四国四県は四国新幹線構想に対して話がまとまっているような感じだった。
 
 私が思うには、和歌山近郊の鉄道は、良いストックを持っていながら活かしきれていないように思える。和歌山電鐵和歌山線のホームは比較的近い位置にあるため、相互乗り入れを行う方法もあるし、和歌山電鐵和歌山市駅への乗り入れも考えられる。また和歌山〜和歌山市間に駅を設け、和歌山市内の利便性を向上させる方法も考えられる。
 
和歌山市近郊の鉄道輸送が活性化することを願っているし、それが可能だと信じている。今後の展開に期待している。