スクールバスによる通学困難者の救済を試みる茨城県の高校

 2月の中頃、鉾田第一高校を取材した。理由は、茨城県の鉾田第一高校と鉾田第二高校が、2012年12月から共同で運行を開始したスクールバスの状況を知りたかったためである。鉾田第一高校及び鉾田第二高校は、かしてつ代替バス応援団に関与する高校である。それゆえ「何故、独自でスクールバスを」と思っていた。
 取材してみると、この付近には公共交通空白地域が多く、通学に支障を来す生徒が多いという。そして鉾田第一高校では、3年前にバイク通学の生徒が、通学途上で事故死している。学校側とすれば、バイクで生徒が事故死することはショックである。このような事も、重視した結果のようである。
 スクールバスの路線であるが、かしてつ代替バス鹿島臨海鉄道、既存の路線バスとは、バッティングしていないという。運行は、主に貸切バス事業を行っている出来根観光という地元のバス事業者に委託している。
 路線は4路線設定されており、最終が19:00であるため、クラブ活動を行う生徒にも配慮はなされている。だが土日・祝日や夏休みなどの学校で授業の無い時は、運休になる。そのためクラブ活動や図書館で調べものなどをするために通学しなければならない生徒には、配慮されているとは言えない。教職員の大半は、自家用車で通勤している。理由として、教育委員会やその他の所用で外出をしなければならない時に、公共交通だと移動の面で制約があるからである。

 スクールバスの運賃であるが、定期券が基本であるため、1か月約2万円も要するという。茨城県鉾田市などの沿線自治体からの補助は、一切ないという。茨城県の公立高校の年間授業料は1万円程度であるから、授業料よりも通学定期代の負担の方が遥かに重い。
 鉾田第一高校や鉾田第二高校は、鹿島臨海鉄道新鉾田駅から徒歩で10分の所にある。水戸から通学する生徒もいるが、水戸〜新鉾田間の通学定期の運賃は、約2万3,000円だという。普通運賃も割高であり、水戸〜新鉾田間の距離は31.0kmであるが、大人片道で780円もする。
 スクールバスや路線バス、鹿島臨海鉄道だけでは、地域の足は確保できない。公共交通が無い地域に住む生徒には、50ccに限り認めざるを得ないという。
 通学定期代が非常に高いため、自衛手段として自家用車で送迎する親もいるという(親子でスケジュール調整を行って)。
 1か月2万円の通学定期代は、高校生の子供を持つ家庭には、負担が大きい。
 自家用車による送迎を少しでも減らすため、茨城県や沿線自治体(教育委員会も含む)なども、通学定期に対する補助も検討する必要があるのではなかろうか。