大阪市長の公共交通に対する認識

大阪市営地下鉄開業80周年(1933年に御堂筋線の梅田〜心斎橋間が開通)を記念して大阪市役所の前に、5/24まで開業当初の100系車両が展示されていた。開業時は1両編成で運転されたが、東京の地下鉄が空気ブレーキしか装備していなかったのに対し、大阪は空電両制御であった。また東京が鉄道事業免許を取得して整備したのに対し、大阪は免許取得が簡単な軌道法の適用を受けるなど、当時の大阪市長であった関市長には、先見の明があったと言える。

 現在の大阪市長は、色々と物議をかもす発言だけでは飽き足らず、大阪市バスの中でも生活路線である「赤バス」を不採算を理由に廃止を検討している。「赤バス」は、通常の路線バスでは運行不可能な細街路に入って行くことが出来るマルチライダーという低床式の小型車両で運行されている。噂では、100円の収入を得るのに1,200円の経費を要するという。

 「赤バス」が不採算の原因として、以下のことが考えられる。
①1周が2時間程度要するなど、ダイヤが悪い
②路線は、地域住民の要望ではなく、地域の市会議員などのエゴで引っ張った。
③「大阪運輸振興」という、モロに天下りを受け入れていた大阪市の外郭団体に運行委託したりしている。

 ①に関しては、何故、手直ししようとしないのか。ダイヤを見直すことで、利用者を増やすことは可能である。
 ②に関しては、1周2時間も要する上、路線図を見ても何処を通るのか、地元の住民でも分からない。地元議員が誘致すれば、このような結果になってしまう。これでは地元住はもとより、外来者には非常に使いづらい。

 ③現市長は、「天下り廃止」と声高に叫ぶのであれば、何故、こちらにメスを入れないのか。大阪市バスの50歳の運転手の給料は、年間で1,000万円を超えており、立命館大学の50歳の教授よりも完全に高いという異常な状態にある。そこへ大阪市天下りを受け入れる外郭団体に運行委託するのだから、高コスト極まりない。

 「営業係数1,200」という数字は、大阪市の福祉予算を大阪市交通局へ補助するなどすれば、いくらでも下がる。またバスの運行委託など、近鉄バス京阪バス南海バスなどの純粋な民間事業者に委託すれば良い。

 このようにすれば収支は大幅に改善する。そのため「不採算」だけで廃止を検討するのは、如何なものか。「便益」という指標も活用すべきである。現大阪市長は、もっと公共交通について勉強する必要があるだろう。日本維新が政権を採ると、国民の生活が破壊されるのではないかと危惧する。