「サンライズ瀬戸・出雲」と「あけぼの」の現在の乗車率

 4/13に大阪〜東京まで「サンライズ瀬戸・出雲」のゴロンとシートを利用した。ゴロンとシート特急券に510円の指定席券をプラスすればよいため、ほぼ満席であった。しかしB個室釤シングル”には、空席(空室)が目立ったという。B個室釤ツイン”は、高松発の「サンライズ瀬戸」には空室が目立ったが、「サンライズ出雲」は7割程度であったと聞く。その理由として、若いカップルが出雲大社へ縁結びに出掛ける際、「サンライズ出雲」のB個室釤ツイン”を利用するという。
 筆者は久々にゴロンとシートを利用したが、以前は備わっていなかった毛布が備わっており、感激したものである。特急料金に510円の指定席料金で利用するには、十分な設備である。
 ところで夜行高速バスには、毛布以外にスリッパも備わっており、1-1-1の横3列座席の場合、深夜はカーテンが敷かれるため、セミコンパートメントにはなる。ただ完全に横になれる訳でもなく、深夜に工事を行っていると騒音や振動で眠れない。その点、「サンライズ瀬戸・出雲」は、完全に横になれる上、車掌からシャワーカードを買い求めればシャワーを浴びることが可能である。汗ばむ夏場などは、このサービスはありがたい。
 そこで筆者は、ロビーカー(ミニロビー)で寛いでいる若い女性に、高速バスを利用するぐらいならば「サンライズ瀬戸・出雲」のゴロンとシートの方が疲れないという旨を伝えた。女性専用のゴロンとシートが無いことが難点だろうか。
 「サンライズ瀬戸・出雲」は電車であるため、加減速性が良いだけでなく、発車・停車時の前後の動揺も殆どないため、乗り心地は良好である。そして防音性も良いため、高速バスよりも車内は静寂である。そのため高速バスを利用するぐらいならば、「サンライズ瀬戸・出雲」のゴロンとシートを利用する方をお薦めしたい。
 高松の発車時刻といい、東京の到着時刻も良好であるため、まだまだ潜在需要の見込める列車である。東京の人も、「サンライズ瀬戸・出雲」を利用して岡山へ出掛け、低床式LRVのMOMOに乗車されると良いだろう。金曜日の夕方からは、MOMOをチャーターした釤ワイン電車”が運転されており、それに乗車した後に上りの「サンライズ瀬戸・出雲」で東京へ戻ることも可能である。
 一方の寝台特急「あけぼの」であるが、車両の老朽化は避けて通れない状態にある。1号車(女性専用車)と8号車の釤のびのび座席”は上下段ともに埋まる。そして5、6号車に連結されたB寝台釤ソロ”も乗車率が良い。問題は開放型のB寝台車であり、ガラガラの状態である。
 釤ソロ”も開放型のB寝台車も同一料金では、誰も開放型を利用しようとは思わない。「あけぼの」はJR東日本管内のみを走行する列車であるため、インターネット予約すると上段が3,500円、下段が4,000円程度に値下げするべきだろう。
 それでも金曜日には、上下ともに8〜9割程度の乗車率を誇るという。また沿線自治体(鶴岡市酒田市秋田市能代市北秋田市大館市弘前市)などは、JR東日本に「あけぼの」の存続を要求しているという。筆者は、ただ単に存続を要求するだけでは、JR東日本も重い腰を上げないだろうから、車両の新製費を補助するなどの支援が必要である。
 仮に「あけぼの」が廃止されるようなことになれば、北秋田市大館市能代市大鰐町などは、地域の衰退が一層進むことになるだろう。
 「あけぼの」の上野発は21:15であるが、弘前着は9:10頃であるため、弘前周辺の観光を行うには丁度良い時間帯である。反対に上りの弘前発は、19:00頃と少々早いように感じるが、日が暮れているため観光客には、大きな問題にならない。
 今後、車両を新製するとなれば全線で電化されている上、上野駅の構造などを考えるとサンライズの交直流版の寝台電車が望ましいと筆者は考えるが、製造費用が高くなる。またJR東日本EF510を増備しており、客車で対応する方が新製費用が低減できるため、「あけぼの」に関してはその方が望ましいかもしれない。
 「あけぼの」の場合、観光客にも乗車してもらう必要があるため、B寝台釤ソロ”だけでなく、B寝台釤デュエット”やロビーカーなども導入しなければならない。ロビーカーにはシャワールームを設け、高速バスと完全に差別化を図りたい。A寝台車であるが、「サンライズ瀬戸・出雲」と比較すれば、部屋が狭く13,000円以上も徴収するような設備ではない。筆者は、今の設備であれば11,000円程度で良いと考えている。そのためか11室あるA個室釤シングルデラックス”は、半分以下の利用率であるという。筆者自身も「あけぼの」で釤シングルデラックス”を利用したこともあるが、昼間に寝台を解体して座席として使用した場合、座り心地は悪くなかったが、座面が低いように感じた。新製車を導入するとなれば、「サンライズ瀬戸・出雲」レベルの設備としたい。
 「あけぼの」は、ヒル区間では立席特急券などを発行して昼行特急の代行も行う。そのため開放型のB寝台車(のびのび座席)も必要となるが、昼間に座席として使用した際の座り心地の改善は不可欠だろう。また4人で利用する際は、扉を閉めて個室として使用できるようにしたい。
 今の「あけぼの」は、設備的に中途半端であるため、今後は個室寝台中心の列車として存続させるべきだろう。JR東日本単独で車両新製費を負担することが困難であれば、現時点では沿線自治体だけでなく、青森県秋田県山形県にも補助を求め、可能な限り存続させるようにするべきである。将来的には、社会資本整備特別会計や導入が検討されている環境税を財源にするようにしたい。